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英国史上まれに見る極悪人として名高いリチャード三世の真の人物像を探ることを目的としています。
シェイクスピアの描いたリチャード三世以外のリチャード三世像があることを、一人でも多くの方に知っていただければ幸いです。
2012年9月12日、レスターのグレイフライヤーズ修道院跡からリチャード三世の遺骨が発掘されました!(2013年2月4日に調査結果が発表されました)

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"A Secret Alchemy"

エドワード四世妃エリザベス・ウッドヴィルと、その兄弟リヴァーズ伯アンソニー・ウッドヴィルを主人公とした歴史小説



未読かつ未入手なのだけれど、御紹介と覚書として。




A Secret Alchemy 2008年

A Secret Alchemy UK版

A Secret Alchemy 米版

Emma Darwin (著)



Amazon(日本) Amazon(UK) Amazon(米)



UK版(左)と米版(右)で表紙が異なる。



小説の語り手は3名。エリザベス・ウッドヴィルと弟(兄)アンソニー・ウッドヴィル、そして、2人について調べている現代の歴史家 Una Pryor。現代の語り手 Una は、夫を亡くし、オーストラリアから故郷のイングランドに一時帰国している。イングランドにある彼女の家産を処分し、親族の家業を手助けするためらしい。
おそらく、15世紀の章と現代の章が交互に書かれるような形式なのだろう。





ちなみに、著者のエマ・ダーウィンは、「進化論」のダーウィンの妻と同じ名前だが、実際、彼らの子孫だそうだ(great-great-granddaughter だとか)。ちょっとビックリ。





アンソニーの話は、彼が処刑前にポンテフラクト城に送られるところから始まり、エリザベスの話はバーマンジーの修道院で始まるようだ(エリザベス・ウッドヴィルはヘンリー七世治世に修道院に入り、そこで亡くなった―ヘンリーにより幽閉されたとも言われる)
そして、リチャード三世はやはり悪っぽい。ウッドヴィル視点で語られる以上、仕方ないか……



米・英Amazonのreviewを見ると、内容についてはエリザベス・ウッドヴィルが主人公の"The White Queen"同様、賛否両論のよう。英国のreviewの方が厳しいのは、舞台が英国で著者も英国人だということが関係しているのだろうか。
個人的には"The White Queen"よりも、こちらに惹かれるが、未読本と未視聴DVDが高さを増しているので(汗)、しばらくは手が出せないなー。



ところで、エリザベス・ウッドヴィルを主人公としたフィクション、というのは少ないのだろうか。彼女についての(英語の)ノンフィクション―研究書や伝記―は割と見つけやすいように思うのだが。
比較的最近の小説では、この作品と"The White Queen"しか見つけられなかった。絶版になっている古い小説はあるようだけれど。



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『白薔薇の女王』(The White Queen)

エドワード四世妃エリザベス・ウッドヴィルが主人公の歴史小説



未読かつ未入手なのだけれど、御紹介と覚書として。

タイトルの"The White Queen"は、主人公のエリザベス・ウッドヴィルのこと。



【追記】2011年4月、邦訳が出版されました。タイトルは『白薔薇の女王』。





 白薔薇の女王(上)  白薔薇の女王(下)

……追記ここまで……



The White Queen 2009年

White Queen

Philippa Gregory (フィリッパ・グレゴリー) 著



>>Amazon(日本)  >>Amazon(米)  >>Amazon(UK)



"The Cousin's War"というばら戦争期を舞台とした三部作の1作目
2作目"The Red Queen"の主人公はマーガレット・ボーフォート(ヘンリー七世の母)、3作目"The White Princess"の主人公はエリザベス・オブ・ヨーク(エドワード四世とエリザベス・ウッドヴィルの長女、ヘンリー八世の王妃)とのこと。



【追記】どうやら4部作になる模様。2作目"The Red Queen"は出版済み。2011年秋に3作目"The Lady of the Rivers"(エリザベス・ウッドヴィルの母、ジャクェッタ・オブ・ルクセンブルクが主人公)が出版予定。4作目はエリザベス・オブ・ヨークが主人公の"The White Princess"とのこと。
……追記ここまで……



著者のフィリッパ・グレゴリーは、映画化もされた『 ブーリン家の姉妹The Other Boleyn Girl)』の著者である。



ストーリーは、1464年、未亡人となったエリザベス・ウッドヴィルがエドワード四世と出会う時から始まるようだ。







米Amazon
では、この小説の動画による紹介や、著者のインタビューの動画を見ることができる。また、別のインタビューの内容を読むこともできる。のだが、インタビュー文で「ロンドン塔の王子たち」(の一人)のこの小説での扱いについて、結構なネタばれしちゃってますが、いいんでしょうか、グレゴリー女史!



米・英のAmazonのreviewを見ると、内容については賛否両論のよう。

The White Queen : Amazon(米)

The White Queen : Amazon(UK)



とりあえず、リチャード三世は悪っぽいなー<注目点はそこか、自分!

エリザベス・ウッドヴィルと、エリザベスの母ジャクェッタ・オブ・ルクセンブルクが魔術を使う?のか?うーむ。
あと、エドワード四世が"boy king"と書かれているらしいのが気になる。1464年だとエドワードお兄ちゃんは22歳?確かに若いが、当時の基準ではとっくに"boy"じゃないと思うのだけど。母親とか爺様連中にとっては"boy"かもしれないけれど、そういう意味で使われているわけではないらしい。……微妙だ。



筆者の『ブーリン家の姉妹』は以前から興味はあるのだが、色々と気になることがあって私は未読である。映画も観ていない。
『ブーリン家の姉妹』については、Mille Cさんの書評記事(ブーリン家の姉妹)や、Leiさんからいただいたコメントが参考になると思うので、是非お読みください。

個人的に一番気になるのが、歴史好きには突っ込みどころが多そうだという点。勿論、小説は歴史書ではないので、一般的な歴史的解釈と異なっていても一向に構わないのだけれど、もしも作者の都合だけで歴史的事実や当時の常識のようなものが改変されているならば嫌なのだよなー。この新シリーズがどうなのかは分からないのだけれど……



最終更新日:2011.8.8




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ジョアンナ・メイクピースの"ばら戦争関連小説"

ジョアンナ・メイクピース作の日本語で読めるばら戦争関連小説が2作ある。いずれもヒストリカル・ロマンスで、リチャード三世が出てくる(『誇り高き白薔薇』の方は、グロースター公に叙される前の8歳のリチャード)。
先日、凪乃さん改めじゅりーさんに教えていただいた。じゅりーさん、ありがとうございました!



誇り高き白薔薇』 HS-73(新書版) 絶版
  >>Amazon  >>eBOOKOFF  ブックオフオンライン
icon  >>古本市場
icon
原題 Stolen Heiress (1996) :  >>Amazon(米)  >>Amazon(UK)



戦野の白薔薇』 HS-30(新書版) 絶版
  >>Amazon  >>ブックオフオンライン
icon  >>古本市場
icon

原題 King's Pawn (1996) :  >>Amazon(米)  >>Amazon(UK)



[Link]









後者の『戦野の白薔薇』の方は、尾野比左夫氏の『リチャードIII世研究』で紹介されていた(『国王の誓い』と書かれていた)。この他、ジョアンナ・メイクピース Joanna Makepeace の作品では、1972年の"Pawns of Power"が『支配者の誓い』として紹介されていた。有名な人だったのか……



なお、"Pawns of Power"(1972)の内容は次のようなものらしい。


Marian hoped to find a husband of her own choice, but she was commanded to wed Sir Ralf Compton. Lady Anne was in love with the King's brother, Richard of Gloucester, but her father had quarreled with the King. How could either girl seek to win?



物語の年代は1460年代末から1472年。第2次ばら戦争の時期に相当する。
ウォーリック伯はエドワード四世に反旗を翻し、1470年にエドワード四世を退位・亡命させてヘンリー六世を復位させ、次女のアンをヘンリー六世の王太子エドワードと結婚させた。翌年、エドワード四世は弟のグロースター公リチャードと共にイングランドに戻り、ランカスター軍を破って(ウォーリック伯は戦死)、復位した。おそらく、この間の出来事と、1472年にリチャードとアンが結婚するまでの話ではないかと思われる。



2003年に再販されているのを米Amazonでみつけて注文しようかと思ったが、"Usually ships within 4 to 6 weeks"になっている。英Amazonでは品切。「やっぱりなかった、ごめん」になりそうだなー。どうしよう。



ジョアンナ・メイクピースについて調べていたら、次の記事をみつけた。



Truth is stranger than fiction (BBC Leicester)
"Cry of the Icemark"というベストセラー小説(The Icemark Chronicles というシリーズものの第1作)を書いた Leicester 出身の作家 Stuart Hill 氏の紹介。
His inspirational teacher として、Beaumont Leys School  (生徒は11歳-16歳)時代の English and Drama の教師 Miss Margaret York の名が挙げられているのだが、このMiss Margaret York のペンネームが Joanna MakepeaceMargaret Abbey。学校の先生してたんだー。彼女は、"passionate supporter of the Richard III Society"と書かれている(十分予想できたことだけど)。



彼女は、ばら戦争関連の小説(ヒストリカル・ロマンス)を山のように書いている。



◆ Joanna Makepeace のばら戦争関連小説:発表年代順
 (Richard III Societyで紹介されていたもの)



  • "Pawns of Power" (1972)

    late 1460's to 1472: Anne Neville and one of her ladies are used as pawns in their ambitious fathers' plans.


  • "My Lord Enemy" (1983)

    1470-71: Lancastrian bride abducted by Yorkist bridegroom and exiled with Yorkists in Burgundy; hatred turns to love.


  • "Battlefield of Hearts" (1991)

    1471: The heroine runs away from home to escape an arranged marriage but runs into the aftermath of the Battle of Tewkesbury and the arms of Sir Dominic Allard, one of Richard's household knights. She helps Richard to find Anne Neville hidden in a cookshop.


  • "Reluctant Rebel" (1993)

    1486-87: Isabel hopes life can return to normal when her father survives Bosworth, but then the family is drawn into the Yorkist resistance leading to the Battle of Stoke, and she has to choose between her Lancastrian suitor and Sir Adam, a supporter of Lovell and Lincoln.


  • "Crown Hostage" (1994)

    Romance between Margaret Rushton of Northamptonshire and Sir Guy Jarvis, a young man in the service of the Richard of Gloucester. They meet in the turmoil of Edward IV's unexpected death.


  • "Stolen Heiress" 『誇り高き白薔薇』 (1996)

    1461: A story of revenge and romance – Lancastrian Clare Hoyland is forced into marriage with Yorkist Robert Devane and travels to London and Bruges, where she meets the younger members of the York family including Richard; all ends happily.


  • "King's Pawn" 『戦野の白薔薇』 (1996)

    1484-85: Martyn, Earl of Wroxeter is a faithful supporter of Richard III and is expected to accept as his wife a girl from the Welsh borders in an attempt to bind her family to York. As Henry Tudor plots his invasion their love story unfolds.


  • "Dragon's Court" (1998)

    1499: Anne Jarvis; daughter of a Yorkist supporter; goes to London to become one of Elizabeth of York's ladies in waiting. She is hoping for a suitable marriage, though her heart is given to Richard Allard, who also comes from a Yorkist family.

    Anne knew her father was trying to match her with Richard, whose family had also supported Richard III. But after 14 years of watching Sir Guy pay fines to Henry VII, Anne knew that she wanted a peaceful life with a man who had no political leanings.


  • "The Traitor's Daughter" (2001)

    Set in the reign of Henry VII, the daughter of a Yorkist supporter visits her dying grandfather in Wales.

    As a Yorkist supporter of the late King, Lady Philippa's father is now a wanted man, a traitor. Visiting her dying grandfather in Wales, she is fearful when she is recognized -- by Sir Rhys Griffith, a knight, and supporter of the present King. Sir Rhys could have her thrown in the Tower for treason. Yet he seems a man of honor. Could it be he seeks her father for quite a different reason -- to ask for her hand in marriage...?


◆ Margaret Abbey 名義のばら戦争関連小説



  • "The Warwick Heiress" (1970)

    1469-71: Love story of a groom in the Household of the Duke of Gloucester and a ward of the Earl of Warwick


  • "The Crowned Boar"("The Son of York" と改題) (1971)

    1479-83: Love story of a knight in the service of the Duke of Gloucester


  • "Brothers-in-Arms" (1973) :Trilogy about Catherine Newberry

    Catherine seeks revenge on Edward IV, Clarence and Gloucester for the execution of her father after the battle of Tewkesbury.


  • "The Heart is a Traitor" (1978) :Trilogy about Catherine Newberry

    Summer 1483: Catherine's struggle to reconcile her love for Richard with her love for her husband and family.


  • "Blood of the Boar" (1979):Trilogy about Catherine Newberry

    Catherine lives through the tragedies and treacheries of 1484-85.

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『リチャード三世を愛した女』 (The Reluctant Queen)

リチャード三世妃アン・ネヴィルが主人公の歴史小説



今月発売になった、もう1冊のリチャード三世関連本。立て続けに出版されるとは一体どうしたことだ(嬉しい悲鳴、というか、驚き)。こちらもMlle Cさんにご紹介いただいた。Mlle Cさん、どうもありがとうございました。



リチャード三世を愛した女  (原題 The Reluctant Queen: The Story of Anne of York 1990)リチャード三世を愛した女
ジーン・プレイディー(著)  友清 理士(訳)

ISBN: 978-4894490611; バベル・プレス 2520円(税込)

>>Amazonで見る  >>紀伊国屋で見る



本の紹介文は次の通り

キングメーカー・ウォリック伯を父にもつ少女アン・ネヴィルはグロスター公リチャードとの間に淡い思いを通わせていた。
だが、父と国王の不和をきっかけに、アンも激動の乱世の渦中に投げ込まれる―。
同盟関係がめまぐるしく変転するばら戦争の進行を、敵味方に引き裂かされながらもリチャード三世と添い遂げ、イングランド王妃にまでなったアンの視点を通して描き出す。





The Reluctant Queen: The Story of Anne of York
この小説の原題は"The Reluctant Queen"という。Reluctant というのは、いやいやながら、とか、不承不承、という意味だから、「王妃になりたくなかった王妃」というところか。でも、その邦題じゃ、「アン・オブ・ヨークの話」という副題があっても、何が何やら分からないな(日本では)。実を言うと、『リチャード三世を愛した女』という題名を知った時、微妙だ……と思ったのだが、色々考えると悪くない題名かも。



著者のジーン・プレイディー(Jean Plaidy 本名 Eleanor Hibbert, 1906-1993)は、歴史フィクションで有名な英国の作家である。
"The Reluctant Queen"は、Queens of England Series の8冊目。"The Sun in Splendour"(1982年)というエドワード四世、リチャード三世を扱った小説も書いている(Plantagenet Saga の14作目)。
注:Sharon Kay Penmanにも"The Sunne in Splendour"というリチャード三世の小説があるが、別の作品である。今までに何人もの作家がこの題名で小説を書いているようだ。



Jean Plaidyの名は以前から知っていて、作品に興味もあったのだが、8つも筆名を持ち歴史フィクションを200冊以上書いている、ということは、先日掲示板でLeiさんに教えていただいて知った。200冊!それほど多作だとは。

ちなみに、8つの筆名は、Jean Plaidyの他、Victoria Holt、 Philippa Carr、Eleanor Burford、Anna Percival、Elbur Ford、Kathleen Kellow、Ellalice Tate。



この邦訳本を買うか、それとも、この機会に原書を買って読むか、迷ったのだが、原書を注文した。未読(本)・未見(DVD)の山があるのにどうするんだ!という心の声は無視することにする(笑)



【追記】 2007.11.3



[Link]リチャード三世~歴史とフィクション (http://www.h4.dion.ne.jp/~room4me/ 内) おすすめ!



『リチャード三世を愛した女』の翻訳者 友清 理士氏のサイト。リチャード三世の「罪状」(とされるもの)と謎について、年表、史料の紹介等、とても詳しく、かつ、わかりやすくまとめられている。



こちらのサイトは、『リチャード三世を愛した女』で検索して見つけました。以前拝見したことがあるサイトだけれど、その時は確かリチャード三世の項はなかったなー、凄い凄い!と興奮しながら見ていたら、翻訳者の友清氏のサイトでした。
簡にして要を得た解説で、私がそのうち書こうと考えていた(けれど書いていない)重要ポイントもしっかり書かれており、拙ブログなど要らないのではないかと思うのですが、ブログはのろのろと続けます(^^)


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「天の戴冠(そらのたいかん)」 2

天の戴冠 1 > 天の戴冠 2 ]



"リカーディアン的レスター案内"を書き始める予定だったのだが、その前に。



「天の戴冠」(森川 久美 作)について、きちんと感想を書こうと思ったのだが、実在した人物に対する思い入れが強すぎて(汗)書くことができないでいる。
Mlle Cさんがこの作品について記事を書いてくださったので、リンクします。



 Link:「天の戴冠」の感想(書評)







「天の戴冠」では、史実に基づいた部分と作者の創作(もしくは伝承)部分とをうまく混在させ再構成している。それを検証するのも歴史オタク的には面白いのだが、きりがないのでやめる<オイオイ
が、1つだけ。今回読み直して(ようやく)気がついたのだが、エドワード四世の最初の戴冠(と9年後の廃位)について描かれていない(エドワードの結婚の時期も異なっていて、ウォーリック伯がブチ切れた経緯も描かれていない)。リチャードの息子が出てこないとか、アンとエドワードの関係とか、ウォーリック伯反乱の際にリチャードとヨーク公妃がウォーリック伯の城にいたとか、エドワードがウェイクフィールドの戦に参加しているとか、おや?と思うアレンジは色々あったのだが、戴冠の件は今になって気づいてびっくりした<もっと早く気がつけ、自分



Mlle Cさん御指摘のとおり、ストーリーの中心は兄エドワードとの関係であり、この点で『時の娘』とは大分趣が異なる。"ロンドン塔の王子達"に関しては、ほとんど触れられていない。
しかし、"エドワード四世妃"エリザベス・ウッドヴィルとの会話で、リチャードは次のように言う。


「エドワードが死んで2年 子供たちも大きくなりましたね」
「私はあなたにとって 王妃の位を追い 子供たちの王位を取りあげた男ですよ!」


その上のコマには、庭らしき場所で戯れる子供達―年長の少女1人と年少の少年2人―が描かれている。側に侍女らしき女性が控えている。王子達は生きており、母や姉と暮らしている(もしくは自由に会える)という設定なのだろう。



実際のエドワードとリチャードの関係はどうだったのだろうか。
二人の年齢差はちょうど十歳。それだけ年が違えば兄弟喧嘩もないだろうし、兄というよりも、ほとんど「小さな父親」のような存在だと思う。ましてや父を早くに失った一家。家長として一族を率いる兄を、末っ子のリチャードが尊敬の目で見ていたというのはありそうな話だ。
天の戴冠  (Le Journal de La Princesse frivole)



私もMlle Cさんと同意見である。



史実では、父のヨーク公と次兄のエドマンドが戦死した時(ウェイクフィールドの戦)、リチャードは8歳。
一方、長兄エドワードは18歳。若年とはいえ、当時は成人として扱われた年齢であり、実際、前年から戦に参加していた。家長となったエドワードは、ヨーク公戦死の一月後には軍を起こしている。
下の弟2人(リチャードと、3歳上のジョージ)は、難を避けブルゴーニュ公国へ亡命させられるが、その翌月にはエドワード率いるヨーク軍がランカスター軍に大勝利を収め(タウトンの戦)、2人は4ヶ月ほどで帰国している。そして、エドワードは王位に就いた。



 ◇ 参考記事: ばら戦争 3 : 主要な戦い



短期間で父親と次兄の仇を破り(捕らえることはできなかったが)国王となった、長身で煌煌しい美丈夫の長兄に、末っ子のリチャードが憧憬と尊敬の念を抱いたというのは容易に想像できる。

そして、この長兄は、父の存命中も既に弟妹に気を配っていた。



ヨーク公戦死の半年前、ウォーリック伯率いるヨーク軍(エドワードも参加)がランカスター軍に勝利した(ノーサンプトンの戦)。この結果、前年から幽閉されていたヨーク公妃と年少の子供達(マーガレット、ジョージ、リチャード)が解放されたようだ。
ヨーク公妃はロンドンに屋敷(パストン家が所有していた)を借り、年少の子供達と住んだが、まもなく、亡命先(アイルランド)から帰国した夫の元に移った。子供達3人はロンドンの借屋敷に留まった。この頃、マーガレットは14歳、ジョージは11歳前後、リチャードは8歳になったばかり。



パストン家の書簡には、エドワードが、弟妹に会いに毎日屋敷を訪れていたことが記されている。彼は、おそらく、軍を整えたり、父ヨーク公のロンドン入りの準備をしたりしていたのだと思うが、その合間に、父母と離れて暮らす弟妹の様子を見に来ていたのだった。
年の離れた弟が、敬慕の情を抱くに十分な行動と思う。……後のことを考えると、ジョージにはあまり効き目がなかったようだが。

この漫画のリチャード、哲学者肌といえば聞こえは良いが湿っぽいしいちいち色々考えすぎだし
天の戴冠  (Le Journal de La Princesse frivole)



確かに(苦笑)。この人は、基本的には武人だったと私は思う。信仰深かったとか、書物の印刷を奨励していたらしいとか、「文」のエピソードもあるけれど、哲学者肌というのはちょっと違うのではないかと。



……色々書いてしまったが、やはり、この作品が絶版になって久しく、入手しづらくなっているのはとても残念である。



天の戴冠 1 > 天の戴冠 2 ]



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